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コラボ vol.14 2004-08-01
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HEADLINE (6 articles)
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[feature/特集]
政治に関心がないから選挙に行かない訳じゃない
三神尊志(NPO法人ライツ代表理事)
01:16歳投票を目指す
02:超党派での議員立法化を狙う
[books review/テーマ書評]
03:漂流する「良識の府」参議院 宮川純一(編集者)
[serial report/知事に特別秘書は必要か vol.2大阪府]
04:4番目の「副知事」に過ぎないのか 政野淳子(ジャーナリスト)
[essay/エッセイ]
05:この町を100年後の子どもたちに手渡すために
山本あきこ(新潟県巻町議会議員)
[postscript/あとがき]
06:こういう意味でアメリカ好き
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[feature/特集]
政治に関心がないから選挙に行かない訳じゃない
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01:16歳投票を目指す
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三神尊志 Mikami Takashi NPO法人ライツ(Rights)代表理事
<7月の参議院選挙は自民党の敗北、民主党の躍進に終わった。心配された投
票率は56・6%で、どうにか前回2001年をわずかに上回ったが、199
2年以降5回続けて6割を切っている。なかでも各種調査が指摘するのは若者
の「選挙離れ」だ。次代を担う若い有権者はなぜ選挙へ行かないのか、政治へ
の関心そのものがないのか。参議院選挙に合わせて、19歳以下の「未来の有
権者」を対象に模擬選挙を実施したNPO法人ライツの三神尊志代表理事に聞
いた>
★模擬選挙では自民が民主に勝った★
―― 比例区形式の模擬選挙を実施したところ、政党の得票率では自民が34
%で民主の31%を上回ったそうですが、実際の選挙結果と逆転したのはなぜ
でしょうか?
三神 国政での模擬選挙は昨年の衆議院選挙に続いて2回目ですが、衆議院選
挙のときは民主党のほうが上でした。今回の投票総数は4826票(うち有効
票3658票)で、全国各地の中学・高校など21校で実施したほか、インタ
ーネット上でのウエッブ投票や渋谷での街頭投票も行いました。
学校で模擬選挙をする場合は、国会と選挙制度の仕組みや各政党の政策につ
いて事前に学習をしてから投票するのですが、今回初めて行った渋谷の街頭投
票では、その場ですぐに投票してもらったので、やはり知名度が抜群に高い自
民党票が多くなったようです。
各政党の政策をきちんと見てから入れる子もいましたが、「投票して」と言
われて、小泉首相や自民党の名前しか知らなくてパッと入れている子もいまし
たから。渋谷という土地柄もあったのかもしれません。茶髪の女の子がけっこ
う投票してくれていて、「わかんない」「どこの政党も信用できない」という
ことで、白票も多くなりました。
一方、ウエッブ投票のほうは、政党や候補者の政策などを自分で調べて投票
しようという強いインセンティブのある人たちです。このウエッブ投票だけの
得票率を見ると、民主党が31%、自民党が10%で、渋谷の街頭投票での自
民党43%、民主党31%と明らかに違う投票傾向が出ています。
★もう一つは「政治教育」の充実★
―― ライツは、選挙権年齢をまず欧米の主流である18歳に、そしていずれ
は16歳に引き下げるよう提案していますが、渋谷の街頭投票の様子をどう見
ましたか?
三神 果たして、子供や若者だけが判断能力がないのでしょうか。大人にはあ
るのですか、と聞きたい。老人はどういう基準で投票しているのでしょう。今
まで自民党に投票してきた人は、例えば農家のように自分にメリットがあるか
らだったのではないでしょうか。
今の若い人が投票しないのは、政治にメリットを感じていないからだと思い
ます。自分と政治の関わりが見えてこないから、「投票に行っても何も変わら
ないだろう」と言う人たちが多いのです。
渋谷の街頭で聞いても、「今の政治はダメ」という前提があります。「自分
たちは将来、年金をもらえないと思う」と言っているのに、ではどこの政党に
入れればいいかとなると、明確にイメージできていません。だから、「小泉、
頑張っているみたいだから」という反応になってしまうのです。「政治を変え
たい」という気持と、では「どうすれば変えられるのか」というところの間を
埋めるのが政治教育なのですが、それも現状では、政治制度は教えるけれども、
自分で考える力を養うような教育はされていません。
要するに、政治の現状が分かっていないのです。どんなことが問題になって
いて、それが何とつながっているのかということが分かっていません。そこを
理解した上で、その問題に対して政党はどういう解決策を提案しているのかを
知り、そして「どの政党を選ぶか」という行動につながっていくべきなのです。
ところが現状はその部分が欠落して、20歳になっていきなり「選べ」「投
票しろ」と言われるから、「選べないよね」という答えが返ってくるわけです。
ライツが、「選挙権年齢の引き下げ」と「政治教育の充実」を車の両輪として
取り組んでいるのもそのためです。学校の授業での政治教育も大切ですが、模
擬選挙は「将来選挙に行く有権者」を育てる重要な活動と位置づけています。
★「選びたくても選びようがない」という現実★
―― 実際の選挙においては20歳代の投票率が低いという現状がありますが、
必ずしも政治に無関心というわけではないのですか?
三神 政治に関心がないから、投票に行かないというわけではありません。友
人と話をしていても、「自分の主張と合っている候補者がいないから、選びた
くても選びようがない」という理由で投票に行かない人がかなり多いです。こ
れが投票率を下げている一番の理由ではないでしょうか。
だから解決方法の1つとして、まず候補者が若者のイシューに気づくことが
挙げられます。そのために、若者を含めた市民が行政にもっと声を上げること
のできる仕組みとか場所があるべきだと思います。例えば、行政の審議会や議
会の場で、NPOの代表が意見を述べられるようなシステムを作るわけです。
政治教育の面からのアプローチもあります。そもそも政治というのは意見が
完全に一致するのは難しいものですから、候補者の主張のうちどういう部分に
着目すればいいのか、「選ぶ目」を養う訓練が必要になってきます。意識改革
は、候補者だけでなく、有権者の側もする必要があるということです。↓
[feature/特集]
政治に関心がないから選挙に行かない訳じゃない
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02:超党派での議員立法化を狙う
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★どうすれば若者の意見が政治に反映するか★
―― 自分たちの中から候補者を出すのも、選択肢の1つになりますか?
三神 なります。若い人のなかに「政治家になりたい」と思う人が少ないのは、
「政治はどうせ変わらないから」と諦めているからです。私は地方政治に関心
があるので、いずれは自分自身が政治家になりたいと考えていますが、それは
政治を変えたいからなんです。実際に自分が政治家になって、「こういう風に
変わるんだよ」ということを提示してみたい。皆が意見を言って、それによっ
て政治家が動けば、政治は変わるという事例を、ぜひ作ってみたいと思ってい
ます。
自分の意見を代弁してくれる候補者がいないこと以上に、「どうせ政治は変
わらない」と諦めてしまって投票へ行かない状況はマズイという問題意識を強
く持っています。周囲を見ても、現状を肯定しているから棄権しているわけで
は決してありません。
同じ世代の者たちは、今の年金制度にはすごく文句を言っていますから。だ
から、投票率が上がれば、そういう不満を抱えている若者の意見が政治に反映
されるようになるということを、これからも強く訴えていきます。
★分かれる各政党の反応★
―― 選挙年齢引き下げについて各政党の反応はどうですか?
三神 主要5政党では、自民党以外のところがすでにマニフェストで「18歳
選挙権」を謳っています。自民党についても、応援してくれる議員はいます。
02年2月に、代理を含め約70人の国会議員と約100人の一般参加者によ
る集会を開き、超党派で選挙年齢引き下げに関する議員懇談会を作ってもらい
ました。最終的に議員連盟になってもらい、議員立法をしてもらおうと働きか
けているところです。
でも、やはり自民党全体の中では、賛同してくれる議員はまだまだ少ないで
す。「若い人は自民党に投票しないだろう」と考えているので、選挙年齢を引
き下げてしまうと自分の選挙に不利になると思っているようです。このことは
直接言われたわけではありませんが、伝え聞くところでは、そういうことのよ
うです。でも、今回の模擬選挙の結果では自民党支持が多かったわけですから、
これからは自民党内でも理解が進むのではないかと期待しています。
欧米では、選挙権年齢に達していない子供への対応もしっかりしています。
例えば、米国では政党が子供向けのホームページを作って、大人に対するのと
同じような働きかけをしています。子供のときから政党の主張を理解してもら
っていれば、大人になってから投票してもらえると考えているからです。
またスウェーデンでは、実際の選挙のときに候補者が高校へ行って、まだ選
挙権のない高校生を相手に講演したり、公開討論会を開いています。そして、
高校では模擬選挙をやるのですが、その結果が非常に大きな力を持ちます。次
の選挙で有権者となる人たちの意見はこうだ――と分かるので、政党も青少年
に関する政策にその意見を採り入れようとするからです。つまり、政党の側も
民意を吸収する場として積極的に利用しているわけです。
日本の政党もこれからは、米国やスウェーデンのような姿勢が求められます。
そうなれば、若者の意見を代弁する候補者が現れ、政治は変わるという手応え
を若い有権者も感じるようになるのではないでしょうか。
(インタビュー/構成・樺嶋秀吉)
*みかみ・たかし 1980年東京都生まれ。その後、埼玉県大宮市(現さい
たま市)へ移り、県立浦和高校卒業後、2001年に東京都立大学法学部法律
学科に入学。サークルの先輩に誘われて、ライツの活動に加わるようになる。
大学2年の9月、内閣府の国際青年育成交流事業に参加し、スウェーデンに約
1カ月間滞在。このとき総選挙を体験し、強い感銘を受けた。現在、ライツの
会員は20〜30代を中心に約70人で、その中から04年度の代表理事に選
ばれた。来春、大手電機メーカーへの就職が内定している。
◎関連サイト
■NPO法人ライツ(Rights)
http://www.rights.or.jp/
■投票率いろいろ(財団法人明るい選挙推進協会)
http://www.akaruisenkyo.or.jp/various/index.html
■選挙制度改革(総務省)
http://www.soumu.go.jp/senkyo/index.html
[books review/テーマ書評]
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03:漂流する「良識の府」参議院
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宮川純一 Miyakawa Junichi 編集者
先の参議院選挙、みなさんは投票に行きましたか? 今回の選挙も前回に引
き続いて比例代表選挙が非拘束名簿方式で行われましたが、投票所の記名台に
備え付けられた名簿届出政党名・名簿登載者一覧の読みにくいことといったら、
これには驚きです。
ユニバーサルデザインの観点から言えばもっと大きな文字で書くとか、虫眼
鏡を備え付けるとか、何らかの対応が必要ではないかと思われます。
それにしても参議院選挙がなぜこんなにわかりにくい制度なのか。さらに言
いますと、本来の参議院の仕事とは何か、そのあたりを確認してみます。
★その存在意義とは★
『国会入門』(浅野一郎編集 信山社 2003年)には、二院制の原点につ
いて、英国のバジョットという人の言葉(『イギリス憲法』1867年)が紹
介されています。
「完全な衆議院ができれば、第二院は要らない」。逆に言うと「国民を代表し、
常に節度を守り、感情に走らず、政治に専念できる余暇を持ち、確実に熟慮を
忘れない人」の集まる衆議院は到底できっこないから、衆愚政治に陥らないた
めに良識を持ち合わせる人たち(それが当時は貴族とされた)によって、衆議
院を補完する「良識の府」をつくった。それが現在に続く「良識の府」論に繋
がったとあります。
次に、実際に参議院はどんな仕事をしているのかというと、内閣総理大臣の
指名、法律、予算の議決、条約の承認(ただし、いわゆる「衆議院の優越」が
ある)は衆議院と同様ですが、内閣総理大臣の不信任議決はありません(その
代わりに参議院では政府問責決議案という形で行われている)。また衆議院の
解散中、参議院が緊急集会を開いて暫定的な議決をすることが認められていま
す。
★1971年時点での問題点★
それでは、立法府にふさわしい活動である議員立法の動向はどうか。『政策
過程論』(早川純貴・内海麻利・田丸大・大山礼子著 学陽書房 2004年)
のデータをみてみます。
第127国会(1993年)から第157国会(2003年)の間における
衆議院と参議院の比較で見ると、衆議院議員提出法案件数584:参議院議員
提出法案件数226であり、成立件数は前者が206(成立率35.3%)に
対して後者は32(成立率14.2%)という状況です。
議員立法数だけでは、衆議院ががんばっているように見えますが、参議院の
最も大きな特徴は、解散がない安定した任期の中でじっくりと時間をかけて長
期的な視野で調査・審議することができることなのです。まさに参議院にこそ
「人材」が求められるといえます。
このように「良識の府」といわれる参議院ですが、実際は「衆議院のカーボ
ンコピー」に過ぎないといわれることもまた周知の事実です。古くは1971
年、重宗雄三参議院議長が10年にわたって職を独占していたことに、河野謙
三参議院議員が反発。河野議長が誕生するや、すぐさま「参議院問題懇談会」
を設置し、現状をまとめました。
その問題点とは(1)参議院は第2衆議院になりさがって独自性を失ってい
る、(2)慎重かつ充実した審議が行われていない、(3)参議院も政党支配
が強く参議院に必要な独自性と自主性が損なわれている、(4)審議引延ばし、
強行採決、物理的抵抗がまかりとおっている。
同時にその打開策として、党議拘束の緩和、入閣制限、議案修正の重視とい
ったことが指摘されたわけですが(前出『国会入門』)、最近(2000年)
においても「参議院の将来像を考える有識者懇談会」(斎藤十朗元参議院議長
の私的諮問機関)の意見書では、「参院会派」という考え方に立った党議拘束
のあり方の見直しや議員立法の要件緩和、本会議中心運営の実現などが挙げら
れました。
今も昔も、参議院が参議院らしい存在理由と役割をどうやって果たすべきか
という永遠のテーマが議論され続けているのです(『議会法』大石眞著 有斐
閣 2001年)。
★混迷の新選挙制度と可能性の模索★
さて、参議院らしい人材発掘の場といえば、それはまぎれもなく「選挙」に
しかないのです。ところが、前回の選挙からかつて「銭酷区」といわれた「全
国区」が復活しました。それを総務省の資料では以下のように説明しています。
「これまでの参議院比例代表選挙は、あらかじめ政党の側で候補者の当選順位
を決めておく方式(拘束名簿式)で、有権者は政党名を記載して投票しました。
これに対し、新たに導入された非拘束名簿式は、名簿では当選順位を決められ
ておらず、有権者が候補者名または政党名のいずれかを記載して投票する方式
であるため、有権者は当選させたい候補者を選ぶことができます」(「変わり
ます21世紀の参議院議員選挙<総務省パンフレット>より)
『日本の選挙』(加藤秀治郎著 中央公論新社 2003年)で著者は強調し
ます。参議院はなにをする議院か、その本質議論がされないまま「衆院選とは
別の選挙制度で」という制度のすり替えで終わってしまうところに問題がある。
まずは、参議院を明確に「再考を促す議院」「修正案を出す議院」として憲法
改正も視野に入れて考えるべきではないか。
一方、7月16日に亡くなった元朝日新聞政治記者の石川真澄氏はかつて自
著『この国の政治』(旬報社 1997年)で参議院選挙の制度改革に触れ、
「知の政治」「理念の政治」にふさわしいものとするためには、100人程度
なら「賢人」を集めて「賢人会議」をつくることができるのではないかと述べ
ています。
「100人くらいなら、一人ひとりの言動が国民からいつも見えるから、いい
加減な人が出ていい加減な審議をすることはできまい。そして広域代表となる
から、『地元利益』との縁も薄くて構わないということになるのではないか」
参議院が衆議院のコピーから脱却するために必要な存在理由とその主役たち
の選考方法が、今の選挙制度で果たして説明可能なのか。元衆議院議員がいき
なり参議院議員になったりすることが、本当に「良識の府」再興にあるべき姿
なのか。各党の候補者選出方法を見れば、それぞれの政党が持つ「参議院」像
が見えてくるはずです。(了)
◎関連サイト
■参議院
http://www.sangiin.go.jp/
■イギリス上院
http://www.parliament.uk/about_lords/about_lords.cfm
■参議院選挙、投票率の推移
http://www.akaruisenkyo.or.jp/tohyo/t_05.html
[serial report/知事に特別秘書は必要か vol.2大阪府]
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04:4番目の「副知事」に過ぎないのか
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政野淳子 Masano Atsuko ジャーナリスト
★与党、自民・公明・民主の苦言★
今年になって新しく特別秘書制度を設けた自治体がある。大阪府である。2
004年2月1日、任期満了に伴う知事選で自民、民主、公明、社民推薦で再
選を果たした太田房江知事が、選挙後初の3月議会で「特別職の秘書の職の指
定等に関する条例案」を提出し、3月24日の閉会日に賛成多数で成立させた。
前年2003年12月の定例記者会見で、再選された場合は特別秘書を起用
したいと表明してから、たった3か月。提案すれば通る、という何不自由のな
い2期目を迎えたと言える。だからなのか、特別秘書制度については、賛成を
得たものの、かえって、知事与党からの反応が芳しくなかった。
自民党議員団は代表質問で、「過去に設置されたアドバイザリースタッフの
ように、名誉職的な位置づけだけで実際やっていることが余り伝わってこない
といった対応は、絶対に避けるべき」「知事としてどのような理由でどんな人
材を特別秘書に任命されようとしているのか」、公明党も「この特別職秘書に
ついて、どのような立場で、どのような権限を持たせるポストを考えておられ
るのでしょうか」と問いただした。
これに対し、知事は「知事であり政治家でもあるこの私を理解してサポート
してくださるような人材が必要と考え、職の設置をお諮りしているものでござ
います。具体的な人選は白紙の段階でありますが、今後速やかに検討してまい
りたいと考えています」と、2つの党に一言一句違わない答弁を繰り返した。
民主党もまた、「特別秘書の設置と人選にあたり、わが会派として危惧する
こと」として、「行政の仕事と政治の仕事は明確に分けるべき」「特別秘書と
副知事との関係が不明確」「職員への指揮命令系統が、非常に分かりにくい」
と批判し、「知事が、副知事をとばして特別秘書を通じて、職員に命令を発す
ることがあってはならない」と苦言を呈した。
財政再建中の新ポスト設置に、唯一反対した共産党は、「与党だから賛成し
たけど、そうじゃなければ反対だといっているようなものですね」と、このや
り取りについてコメントしている。
★特別秘書自ら「必要ない」と言う制度★
驚いたことに、現在の特別秘書である山田信治氏本人も、この3月議会のや
り取りを聞いていた時点では特別秘書制度に懐疑的だった。同氏は35年間、
府庁に勤め、3月に退職したばかりだ。当時、企画調整部長として議会での知
事の説明を聞きながら、「議会、副知事、知事部局と、すでに意志決定ルール
ができあがっているのに、特別秘書が介在すると、意志決定ルールに混乱を招
く」と思ったそうだ。
知事から打診があったのは、5月17日の就任の1週間前で、「議会の同意
事項ではないのだが、与党3会派に根回しをしたい。そのとき外に名前が漏れ
るかもしれないが」と言われ、すぐに引き受けたという。
山田氏は、太田知事を「通産省時代から存じ上げていた」と言う。4年前の
知事就任時、本人は経済政策ではなく教育福祉等にも力を入れたがっていたが、
周りからまず産業政策だと提起され、「大阪産業再生プログラム」を進めた。
そのときに商工部長だったのが山田氏なのだ。後に企画調整部長となり、国の
都市再生本部に対して「大阪はハードよりもソフトな経済再生を」と強力に押
し進めた時も含め、知事と一緒に仕事をする機会が多かったという。
知事からの就任打診のときに何か課題が与えられたわけではなく、「具体的
に何をやっていくのかは模索状態」だと話す。就任以来この2か月は、後援会、
支持団体、都道府県、市町村長との調整、参議院選挙の応援など、対外的な政
治活動を補佐してきた。一般職の公務員にはできない仕事だ。「その部分は副
知事がやってきていたので、私が機能できているとすれば、副知事の仕事が随
分楽になっているはずだ」と山田氏は率直だ。
特別秘書が意志決定ルールに介在するべきではないという考えは変わってお
らず、その意味で、特別秘書は必要ないと今でも思っているという。たとえ、
知事から行政に絡む仕事で相談を受けても、「知事から担当部長なりに直接言
ってください」と言う。「そうしなければ、知事本人の政策が伝わらないし、
私の考えが入ってしまう」という理由からだ。議会対策も、「行政課題を実践
するためにやることなので、私の仕事ではない」ときっぱり。
庁内の部下や友だちからは「35年もいたので相談に乗ってくれということ
は当然ある」。だが、意見を吸い上げて知事に繋ぐのかと思えばこれも、「や
りません。逆の立場だったら、僕が仮に部長だったら怒る。それはあなた(特
別秘書)ではなく、僕がやることだと言うでしょう」と明快だ。
総務課によれば、3人の副知事の役割分担も明確にある。1人が土木部、建
築都市部など、もう1人が商工労働部、環境農林水産部、企業局など、残る1
人が病院事業局、生活文化部など。そして各自、行財政改革や産業雇用政策な
どの特命も受けている。これに知事・副知事3人を支える秘書課19人が日程
調整や随行などを担当する。万全の知事サポート体制だ。
こうして見てくると、大阪府の場合、知事は、政治活動もできる4番目の副
知事を得たという以上に、公費で常勤の選挙要員を雇うことができるようにな
ったという言い方ができなくもない。これは、府民が平等に持つべき知事職の
「被選挙権」という点からみて問題ではないか。大阪の納税者はこれで納得が
いくのだろうか。そうは思えない。(了)
◎関連サイト
■大阪府
http://www.pref.osaka.jp/
■太田房江HP「ふうちゃんねっと」
http://www.ohtafusae.jp/
■「大阪日日新聞」の山田信治氏インタビュー記事
http://www.nnn.co.jp/dainichi/rensai/ronza/ronza040617.html
[essay/エッセイ――70年代生まれの思い]
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05:この町を100年後の子どもたちに手渡すために
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山本あきこ Yamamoto Akiko 新潟県巻町議会議員
★まちづくりの原点は、故郷を愛する気持★
科学技術で世界の環境破壊を救う!と意気込んで入った大学では、疑問ば
かりが膨らんでいく……。そんなときに、有機農業に出会い、農に関わる暮
らしをしようと、1998年、新潟県巻町の隣の岩室村に移り住みました。
巻町には芸術家や地域活動家など面白いことに取り組んでいる方たちがい
ます。縁あってたくさんの巻町の方々と知り合い、地元の農家の方に農や食
について教えていただいたり、茅葺き民家の保存やコミュニティFMの応援
にかかわるなかで、巻町の素晴らしさを知りました。そして、いまひとつ腑
に落ちないところも見えてくるようになりました。
田んぼ、角田山、ホタル、海。巻町には豊かな自然があります。子どもた
ちと蛍の観察をしながら環境保全の活動をしている人は、「子どもたちに自
然との付き合いを伝えるなかで、故郷を愛するようになってくれることを願
っている。一番うれしいのはここにずっと住んでくれることだけれど、外へ
出てもときには帰ってきてくれれば、帰れなくてもこんないい故郷があると
思ってもらえたらうれしい」といいます。
私は、新興住宅地で育ち、故郷を愛するなどという大人に会ったことがな
かったので、巻町で「故郷を誇りに思う」という価値観に出会い、この故郷
を愛するという気持ちがまちづくりの原点だと気づいたのです。
★原発建設問題が生んだ停滞感★
一方で、原発建設の是非をめぐる住民同士の亀裂が残っていて、せっかく
まちを活性化できるようなことを始めた人たちが、「こっち派」「あっち派」
と色分けされてしまう。「お前さんのやっていることは面白いけれど、一緒
にやっているのはあいつだから……」と。もちろん、普段、日常生活のうえ
では平穏です。なにせうちは反対、隣は賛成、その隣はまた反対で、という
ような状況ですから、ご近所づきあいは平静でなければならない。ただ、こ
こぞ、という状態、新しく事業を興したり、選挙です、というようなときに
なると、互いの旗色の違いにピリピリしてくる。
住民投票を経てもなお、30年以上苦しめられている原発問題にまだケリ
がつかない停滞感に、若い人や新しい住民がうんざりし、希望を失いかけて
いるのが残念でした。「人」をはじめとした多くの宝物をもっている巻町な
のに、この状況をなんとか変えることはできないのだろうか。子どもたちに
胸を張って、このまちを手渡すために新しい風を吹かせたい。そう思って、
2003年4月の町議会議員選挙に立候補しました。
★日本の「民主主義」は多数決だった!?★
当選後、一通りの定例議会を経験して身に染みたのは、日本の民主主義は
多数決なのだということでした。最高裁の判断に即応した、突然の東北電力
の原発計画白紙撤回。それを機に市民派の町長が去り、土建事業大賛成の保
守派町長が戻ってきて。それからの市町村合併関連の怒涛の流れには、もは
や少数野党の議員としては、大河に小石を一つ投げ入れるくらいのことしか
できませんでした。議場で一言も発しなくても寝ていても、議決のとき立ち
上がれば1票。それが絶大な威力を成して方向性が決まっていきます。
政治に分け入った新入生として同世代について考えてみると、第三者的な
評論が上手な若い人は多いけれど、そのなかで自分はどう行動するのかとな
ると、何もできない人もまた多いように思います。町主催の市町村合併問題
懇談会に参加すれば、ほぼ毎回、会場で一番若いのは私。定例議会後に開く
「町政お知らせ会」への参加者は毎回10人以下で、35歳以下は来たこと
がない。同世代の人のアンテナにひっかかるためには、どういう情報発信を
したらいいのかと苦慮する日々です。
自分は何者で、自分のいる社会とは何かという問いに気づきもしないまま、
私たちの世代は、真実を伝えないマスコミや、財力のある宗教団体、声の大
きな愛国的保守派団体などにずるずると流され、主体性・主権をじわじわと
奪われています。このままでは「100年後の子どものため」なんて夢の話。
生かさぬように殺さぬようにの政策のもと、同胞を毎年自殺で3万人ずつ失
いながら、私たちは50年後、国家のためのカイライに成り果てている気が
します。
けれど、諦めることだけは許されない。気づきをもたらしてくれるつなが
りや場をとにかく足元からつくろう、と、恩師の言葉「よくなるために悪く
なる」を励ましの言葉として日々唱えつつ、理解者のもとで砂漠のオアシス
のように心を潤し、うんうん唸りながら今日もこの町を歩いていきます。
(了)
*やまもと・あきこ 1976年埼玉県川越市生まれ。98年3月、筑波大
学生物資源学類卒業。同年7月、巻町の隣町、岩室村に移り住む。その後、
巻町で、旧庄屋の茅葺き民家の保存運動、地元コミュニティFM放送局の応
援活動、角田山総合利用推進計画実行委員会などに参加。2003年4月、
巻町議会議員選挙で当選、新潟県内最年少の女性議員となる。
◎関連サイト
■まこう! 希望の種 山本あきこと巻町を耕す会のページ
http://www.h5.dion.ne.jp/~akiko.y/index.html
■新潟県巻町
http://www.town.maki.niigata.jp/
[postscript/あとがき]
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06:こういう意味でアメリカ好き
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ジョージ・W・ブッシュを徹底的に皮肉った映画『華氏911』。アメリカ
での評判は非常に高くドキュメンタリー作品としては異例のヒットを飛ばし、
日本での8月14日の公開も待たれるところだ。一方で、いろいろな意味で意
義深い9月11日、『フォグ・プ・ウォー マクナマラ元国防長官の告白』と
いう映画も公開される。
ベトナム戦争時、ケネディ、ジョンソン政権下の国防長官で名高いロバート
・マクナマラが、自らの人生を語るドキュメンタリー作品だ。マクナマラは長
官辞職後も世界銀行総裁を務めるなど、その頭脳はいまでも評価は高い。
だが、彼につきまとうのはベトナム戦争だ。「アメリカ最大の失敗」である
この戦争の“次席責任者”として常に批判の対象とされコメントを求められて
きた。90年代半ばに回顧録を執筆、率直に語ったとも言われるがいまひとつ
歯切れが悪い。
この映画の中でもベトナム戦争についてしきりに質問されるが、答えは曖昧
のままだ。しかし、それでも彼はカメラの前で長時間を割き、自らの当時の行
動を、考えを語ろうとする。その真摯な姿は、彼の能弁さとは対照的に痛々し
ささえ感じるが。
振り返って、日本の映画である。『下妻物語』『誰も知らない』などがいま
評判を呼んでいるが、ヒットする作品は内向的なものばかり、政治ドキュメン
タリーなど皆無に近い。企画があっても、商業的には成り立ち得ないのかもし
れないが、どの政治家や公人も出演を応諾するのか疑問があるのだろう。
いまアメリカでは、アルジャージーラを描いたドキュメンタリー映画『Control
Room』が一部で話題だという。それがどういった角度から作られているかわか
らないが、政治やら社会やら、歴史や現実と向き合う作品が、次々に生まれて
くるのが妙に羨ましい。(了)
(S)
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発行人 樺嶋秀吉(NPO法人コラボ代表理事)
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